ドッグフードのAAFCO基準とは

AAFCOと日本のドッグフード規制との関係

ドッグフードには総合栄養食というタイプのものがありますが、ドッグフードのパッケージに「総合栄養食」と表示して販売するには、公正取引委員会認定の「ペットフードの表示に関する公正競争規約」の施行規則に規定する栄養基準に適合していなければなりません。そしてその栄養基準は、AAFCO(The Association of American Feed Control Officials; アメリカ飼料検査官協会)などの基準を元に定めらており、欧米と同様の基準となっています。

アメリカのドッグフード規制

アメリカでは、ペットフードを規制する権限は、連邦法と州法にあり、アメリカ連邦政府の食品医薬品局(the U.S. Food and Drug Administration; USFDA(FDA))と農務省(the U.S. Department of Agriculture; USDA)、そして各州の政府によって規制されています。連邦政府の定める法律は全米に適用され、規制を担当する機関はUSFDAとなっています。また各州はそれぞれの管轄区域内でドッグフードの表示や登録を規制しています。

AAFCOってどんな機関?

AAFCOはUSFDAの職員や各州の飼料管理部門の検査官などで構成され、ペットフードなど動物飼料の製造、表示、流通や販売について、アメリカ国内に均一で公平な法規が制定・実施されることを目指して活動しています。協会の目標は「動物と人間の健康を守る」「消費者を保護する」「動物飼料業界が秩序を維持し平等な商取引を行う場を提供する」となっていて、具体的には協会に所属する米国各州の検査官が、ペットフードの安全性や表示などに関する科学的な指針を出すなどの業務を行っています。AAFCO自体には規制の権限はなく、個別の製品がAAFCOの基準に適合しているか否かの判定を行う機関でもありません。ですから日本では、ドッグフードのパッケージなどに「AAFCO合格品」と表示することは、ペットフードの表示に関する公正競争規約により不当表示事項とされています。
AAFCOはペットフードなど動物の飼料の取り扱いについて各州のモデルとなる基準や規制を制定しており、各州の法令はAAFCOのモデル規制に基づいています。また、数多くの飼料成分を定義し、情報を提供しています。

ドッグフードに関するAAFCOの取り組み

総合栄養食のモデル基準作成

動物飼料に関する様々な取り組みの中で、1992年にAAFCOは犬について必要な栄養素のプロファイルを作成し公表しています。AAFCOは実用目的の情報を提供する役割があるため、ドッグフードを実際に製造する際の複雑な成分の組み合わせを考慮し、総合栄養食として必要な実用に耐えられる基準として、栄養素の一覧が示されました。

各成分の下限値と上限値

この一覧には、何十種類もの成分の下限値と、いくつかの成分についての上限量が示されています。下限値は犬が健康に過ごすために最低必要な量として、上限値はその量を超えると犬の健康に悪影響の恐れがある値として示されています。上限値は示されていないものも多いのですが、上限値がないという意味ではなく、まだ明確に分かっていないとなっています。

食べる時まで成分の量を確保

また、原材料を加工する過程や加工後の時間の経過により量が減ってしまう成分があるので、製造の際にはそのことに留意して、ドッグフードが犬の口に入る時点で基準値が確保されるように製造する必要があるとなっています。ですが鉄や銅といったミネラルなどは、失われる量は個別の状況に大きく左右されてしまうため、食べる段階で基準が満たされるようにするためには、かなりの工夫が必要ともあります。

基準に適合すれば完成ということではない

AAFCOは犬が健康に生きていく上で必要な栄養素のプロファイルを示しましたが、実際に基準を運用するにあたっては、基準に適合するだけでなく、それぞれのドッグフードがその目的を十分に達成できるよう、さらなる試験を行うと良いとしています。

原材料の良し悪しには触れていない

AAFCOは、ドッグフードの製造や流通に関するモデル規制や必要な栄養素の種類や量や割合などについての情報は提供していますが、原材料として適当・不適当な素材についての情報は提供していません。
例えばタンパク質は動物からでも穀物からでも摂ることができますが、どちらの素材を用いるべきかについてはコメントしておらず、AAFCOが示した栄養素の基準を満たすドッグフードを製造するためには、通常は様々な素材を用いることが必要になってくると説明しています。ただしもちろん、有害物質が入っていないなど基本的な前提は踏まえた上でのスタンスです。

納得できるドッグフードを選ぶために

その後その一覧は、FEDIAF(欧州ペットフード工業連合会)のガイドラインなど国内外の知見を踏まえて、AAFCOによる改定が行われつつ今日に至っています。そしてその基準を用いて基準を作っている日本ですが、店頭に並ぶドッグフードには輸入品も多く、選択肢は数多くあります。信頼できる世界共通の基準があり、わかりやすく情報が得られれば、多くの選択肢から納得のできるドッグフードが選べるようになりますね。