ペットフード安全法と表示基準

ペットフード安全法とは

ペットフード安全法は、正式には「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」といいます。名前のとおり、ペットフードの安全を守るための法律です。「愛がん動物」(ペット)とありますが、それは犬と猫のことで、政令で「犬及び猫とする」と限定されています。ですから、ウサギやカメや鳥など他の生き物をペットとして飼っていても、そのためのペットフードはこの法律による規制の対象ではありません。

法律で定められていること

この法律では、犬と猫が健康でいられるようなペットフードがお店に並ぶよう、成分の規格や製造方法の基準などを示しています。また、製造や輸入を行う事業者さんは事前に届出をして、何をいくつ扱ったかなどの帳簿をつけてくださいね、と求めています。そして、ペットフードで事故が起きたりしたときは、製造や輸入をした事業者さんはもちろん、運送や保管や販売をした事業者さんも調査対象になりますよ、とか、法律に違反したら罰則がありますよ、なども定められています。

必ず表示する5項目

この法律で定められている様々なことの一つに、表示についての定めがあります。そこでは、飼い主さんたちが内容を確認し、安心して購入できるよう、ドッグフードやキャットフードのパッケージに必ず表示しなければならない項目を挙げています。①名称、②賞味期限、③原材料名、④原産国名、⑤事業者の種別と名称と住所、この5つです。

名称

名称とは商品名のことです。この名称で、犬用なのか猫用なのかがわかるようになっていなくてはいけません。
例えば商品名の中に「ドッグフード」や「犬用」という言葉を入れるということです。犬がキャットフードを食べてしまったら大変ですよね。

賞味期限

賞味期限とは、説明されたとおりに保管した場合に、全ての品質が十分に保持される期限のことです。賞味期限にはきちんとした根拠が必要で、保存試験などにより確認された期限が表示されています。品質が劣化したり栄養が減ったりしてしまったドッグフードは、犬の健康に悪影響を及ぼすおそれがありますので、購入にあたっては内容量と与え方もあわせて確認しましょう。1日にどのくらいずつ食べるのかな、この内容量ならいつごろ食べ切るのかな、と見当をつけ、賞味期限内に使い切る量を購入してください。

原材料名

ドッグフードは加工されていますので、どのような材料が使われているのかは見ただけではわかりません。ですから、使用している原材料は添加物も含めてすべて表示します。そして、ペットフード安全法では直接求められてはいませんが、使用量の多い順に記載することが望ましいとされています。
また添加物については、保存料、酸化防止剤、増粘安定剤、甘味料、発色料、着色料の6種類の用途で使用されている場合は、何をどんな用途で使っているかがわかるよう、材料名に加えて用途名も記載することになっています。原材料名をしっかりと見て、アレルギーが起こるものが使われていないかなどを確認し、それぞれの愛犬の体質や体調に合ったドッグフードを選びましょう。

原産国名

製造された国名を表示します。基本的にはドックフードの最終加工が行われた国なのですが、フードのタイプ毎、また加工の仕方で原産国をみなすことになっていて、少々ややこしいルールがあります。
あえて分かりにくい例を挙げてみますと、例えばウェットタイプで、A国で内容物を調製し、冷凍してから日本に輸入し、日本で解凍してレトルト殺菌(加圧加熱釜で殺菌)した製品は、原産国が日本と表示されます。
また、素材乾燥タイプで、A国産のささみジャーキーに日本でフレーバーをまぶした製品の原産国はA国と表示しますが、複数製品組み合わせタイプで、A国産の乾燥ささみにB国産の干し芋を日本で巻き付けて成型した製品は、原産国を日本と表示することになっています。様々な国の原材料を使い、様々な国でいろんな加工をするので、表示のルールも複雑にならざるを得ないのでしょう。表示を読み取る側の愛犬家の皆さんは、ややこしくて困ったなという気持ちになりますよね。ですから最初は何となく、表示のルールがあるらしいと知っているくらいで良いのではないでしょうか。

事業者の種別と名称と住所

事業者の種別は、製造業者、輸入業者、販売業者(または製造者、輸入者、販売者)の3種類です。基本的には、ドッグフードを製造したのであれば製造業者、輸入したのであれば輸入業者となります。残りの一つ、販売業者と表示されるのは、同じ製品ですが調達ルートが複数ある場合などです。
例えば、国内で自社が製造したものと、海外で委託製造して輸入したものを、自社ブランドの1種類のドッグフードとして販売する場合は、販売業者と表示されることがあります。そしていずれの場合も、パッケージの表示内容に責任をもっているのが誰なのかということを表しています。表示内容についての問い合わせ先と考えても良いでしょう。