製造基準はどうやって決まるのか

ドッグフードの製造基準とは

ドッグフードの製造基準とは、ドッグフードを製造するための指針や要件のことです。製造基準を決める目的は、ドッグフードの安全を守ることです。基準に沿って製造することで、犬の健康を損ねるような質の悪いドッグフードが家庭に届かないようにします。

ペットフード安全法の製造基準

日本で販売されるドッグフードの製造基準に関することは、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(通称ペットフード安全法)」で定められています。法律では、ペットフードの製造方法、表示、成分の規格などの基準を定めるとあり、また、ペットフードを取り扱う事業者さんはドッグフードの安全性に責任を持ち、基準に合わないドッグフードを製造したり、輸入や販売をしたりしないこととなっています。そして、製造基準の詳細は「愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令」で決められていて、指定した添加物や農薬、有害物質の含有量が上限値以下でなければならないことや、病原微生物で汚染された原材料を用いないこととなっています。このように、犬が摂取し過ぎてはいけない物質を規制するルールを作り、ルールに合わないドッグフードを日本で扱わないこととしているのです。

製品ごとの製造基準

ドッグフードには様々なタイプがあります。粒状で乾燥したドライフード、少々水分を含んだセミモイストフード、かまぼこなどの練り加工品、乾燥野菜や煮干し、缶詰やパウチなどなど。また原材料も、肉、魚介、穀類、油脂、添加物など多岐にわたり、材料の組み合わせ方も色々あります。さらに家庭に届くまでには、原材料を仕入れる、加工する、パッキングする、保管する、運ぶ、販売するなど様々な過程があり、製造設備や管理体制などは工場ごとに異なりますので、実際の製造現場と製造内容を想定したリスク管理は、もちろん現場ごとに異なってきます。ですから、ドッグフードの各メーカーは、ペットフード安全法の製造基準を満たすことに加えて、それぞれの製品の種類や設備環境に応じた製造基準やマニュアルを作ってリスク管理をしながら、それぞれのドッグフードを製造しています。

製造基準を決めるポイント

各工場で実際に製造管理をする際の参考として、「ペットフードの適正製造マニュアル」が農林水産省から示されています。このマニュアルは、どうすれば製品の安全や品質を確保しながら工場を運営していけるのかという観点から、重要なポイントと基本的な対策方法について説明してくれています。その中のいくつかを見てみましょう。

異物:金属、ガラス、骨など、犬の消化管などを傷つける恐れのある異物がドッグフードに混入しないよう、マグネットやふるいで取り除きます。

添加物:酸化防止剤などの添加物は適切な量を配合し、均一になるようによく混ぜ合わせます。

微生物:微生物の混入や繁殖を防止するため、製造設備は衛生的にし、製造の工程で加熱殺菌などの処理を十分に行います。また、製品の水分量や貯蔵温度、換気などの調整もしっかりと行います。

保管・輸送:保管や輸送の際は、直射日光及び高温多湿を避けるなど、適切な温度や湿度を維持します。また、製品が破損しないよう強い衝撃を加えないことや、虫やネズミから守ることが必要です。

製造基準が守られるために

ペットフード安全法には、基準に違反した場合の罰則なども定められていますが、それはそれとして、基準を満たし続けるためには、事業者さんに様々な日々の努力を継続して行ってもらうことが必要です。大変だとは思いますが、ぜひぜひお願いしたいところです。また、そのようにして製造された安全なドッグフードが家庭に届いたら、そこから先の品質管理は飼い主さんに依るところが大きくなります。家庭でも、きちんとした管理を心掛けたいですね。