ドックフードの成分表の見方

ドッグフードの成分は%で表示されている

ドッグフードの成分表示はグラムなどの量ではなく、%で示されています。これは、犬が生きていくために必要な栄養を必要なバランスで提供するという考えに基づいて、成分表示のルールが定められているためです。

犬の栄養管理は難しい

なぜそのようなルールになっているのかというと、人が犬の栄養管理をすることが難しいからです。犬は自分で様々な食材を選んで食べることはできず、飼い主が与えるものを食べるしかありません。ですが、犬と人では栄養摂取の仕方が異なっていますし、いろんな犬種があり大きさも様々で、必要な栄養の量も違います。もし飼い主が愛犬の食事を食材から手作りしようと思ったら、愛犬の体重や成長段階に合わせて、必要な栄養素とその量を知り、どの食材からどのくらいの栄養が摂れるのかを計算し、犬が消化吸収できる食材を選んで加工してあげなればなりません。
犬は人に、自分は何が食べたいとか、どの栄養が足りていないとか、今日は胃もたれがするとか言えませんから、飼い主に必要とされる知識と労力は大変なものになります。
そこで、飼い主の栄養管理の力量にかかわらず、人と一緒に暮らす犬が必要な栄養を摂取して健康に過ごすことができるよう、総合栄養食というドッグフードが登場しました。ですからドッグフードのパッケージには、犬に必要な栄養素がバランスよく入っていることと、適切な給餌量がわかるように表示をすることになっています。

ドッグフードの成分表の見方

さて、成分表示は具体的にはどうなっているかというと、例えば「粗たんぱく質20%以上、粗脂肪8%以上、粗繊維3%以下、粗灰分6%以下、水分10%以下」などと表示されています。この5つの成分は、ペットフード安全法やペットフードの表示に関する公正競争規約で必ず表示することとなっています。炭水化物など他の成分は必要に応じて示されます。「粗灰分」の「灰」はあまり聞かない呼び方ですが、ミネラルのことです。「粗」は各成分の含有量の分析精度を表しており、品質の良し悪しのことではありません。例えば脂肪を分析する際、脂肪に溶けているビタミンなど他の成分も一緒に測定されてしまうので、脂肪は大体このくらいと言いたいために「粗」が付いているのです。
また、たんぱく質と脂質は「以上」とついていますが、これは摂取量が一定量を下回ると犬の健康に悪影響があるので下限が定められています。
一方、繊維と灰分と水分が「以下」となっていますが、これらはドッグフードに占める割合が高いとカロリーが低下したりして一定の栄養を摂取できない心配があるため、割合の上限が定められています。「粗」や「以上」、「以下」の表示は、日本独自のものではなく世界的に共通の表現方法です。例えば英語では「粗」は「crude」、「以上」「以下」は「max.」「min.」と表示されています。

総合栄養食の基準

ペットフード公正取引協議会は総合栄養食と表示するための基準として、AAFCO(全米飼料検査官協会)の分析試験と栄養基準を採用しています。AAFCOの基準では、例えば成犬用の栄養素として、粗タンパク質は18.0%以上、粗脂肪は5.5%以上となっており、ビタミンやミネラルについては、ビタミンA、D、カルシウム、リンなどの20種類以上もの要素についてそれぞれ下限値が定められ、摂りすぎてはいけないものについては上限値もあります。そしてその基準をクリアしたドッグフードは、「タンパク質、脂肪、繊維、灰分、水分」の5つの成分表示とあわせて、総合栄養食と表示できることになっているのです。

専門知識がなくても大丈夫

このように基準を設けることで、飼い主に専門的な知識がなくても、パッケージの表示を見れば基本的には適切な栄養を愛犬に与えることができる仕組みになっています。ですが、ペットフード公正取引協議会の基準は最低限クリアすべきものなのであって、各ドッグフードメーカーはルールに則って基準をクリアした上で、それぞれの考えから各栄養素の量や内容にこだわりを持ち、原材料も犬に合った素材を選んでドッグフードを作っています。また、肥満気味でダイエットが必要だったり、内臓疾患のため特定の栄養素の量に注意深いコントロールが必要だったりと、犬の状態によって個別の調整が必要な場合もあります。愛犬家の皆さんも、基本的には総合栄養食で栄養が足りていることに安心しつつ、さらにそれぞれの愛犬に最も合う食事を追求してみてはいかがでしょうか。