ドッグフードの安全性とは

犬が健康に過ごすには

犬が健康に過ごせるかどうかは、毎日食べるドッグフードの品質に大きく左右されます。ドッグフードは犬のために作られているのですから、それを食べた愛犬の具合が悪くなるかもしれないなんて、普通は考えもしないことです。けれども、過去にはドッグフードが原因で愛犬が死に至る事故が発生したこともありました。そしてその反省から、犬にとって安全なドッグフードとはどのようなものか、またドッグフードの安全性に誰が責任を持つのかをはっきりとさせることになったのです。

ペットフード安全法ができる前

現在、日本では「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(通称ペットフード安全法)」という法律によって、ドックフードの安全性が守られています。この法律は平成21年(2009年)6月に施行されましたが、それより前は、日本にはペットフードに関する法律がありませんでした。
食品衛生法や飼料安全法は、人の食品や家畜などの飼料のための法律で、ペットフードは対象外となっており、また動物愛護管理法には飼い主が適正に飼育することとありますが、ペットフードの安全性についての直接的な定めはありません。
平成18年(2006年)4月に、一般社団法人ペットフード協会が「安全なペットフードの製造に関する実施基準」という自主基準を作り、安全なペットフードを製造するよう普及啓発を行っていましたが、ドックフードの安全性の確保は各ドッグフードメーカーの自主的な取り組みに任されている状況でした。

メラミン混入による死亡事故

そのような中、平成19年(2007年)3月にアメリカで、中国産の材料にメラミンという有害物質が混入し、その材料を使って作られたペットフードが原因で愛犬や愛猫が多数死亡する事故が起こり、メラミンが混入したペットフードの大規模なリコールが行われました。日本でも、メラミンが混入したペットフードが輸入・販売されていたことがわかり、リコールをはじめ各社の安全宣言や消費者からの問い合わせの殺到など、大きな混乱が起こりました。ですが、そのときまだ日本にはペットフードに関する法律がなかったため、行政はリコールの徹底ができず、また必要なところに十分な情報が届かない状況となってしまい、結果としてメラミンが混入したペットフードが一部で販売され続けることになってしまいました。このような社会の混乱を経て、日本でもペットフードの安全確保に取り組まなければならないという意識が強まり、平成21年にペットフード安全法が制定されたのです。

ペットフード安全法

ペットフード安全法は、ドッグフードの製造などに対してルールを作ることで、ペットフードの安全を守り、それを食べる愛犬や愛猫の健康を守ります。
この法律では、ペットフードの製造業者、輸入業者、販売業者は、ペットフードの安全確保に責任がある、となっています。有害物質が混ざっていたり、病原微生物で汚染されていたりするなど、基準に合わないペットフードの製造、輸入、販売はできません。また、必要な表示をしていないペットフードは販売できません。基準に合わないドッグフードが売られていることがわかった場合は、それを扱った事業者の責任で回収しなければならないこともあります。ペットフードの製造業者や輸入業者は事前に届出を行うことになっていて、販売直前までの流通経路ができるだけわかるよう、何をいくつどう扱ったかなどについて帳簿をつけることになっています。そしてペットフードで事故が起きたりしたときは、製造や輸入をした事業者はもちろん、運送や保管や販売をした事業者も調査対象になり、法律に違反したら罰則がある、なども定められています。人の食品と同様、ドッグフードの安全性も高くあってほしいという愛犬家の皆さんの願いが実って、ペットフード安全法ができたのですね。